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常設型住民投票条例

(橋本治樹/条例Web管理委員会)

直接請求による住民投票の盛り上がり

 1990年代、日本各地で原子力発電所の立地や、廃棄物処分場、大規模ダム、空港建設などの是非をめぐって、直接請求による住民投票条例の制定が相次いだ。多くの住民の意見と、首長や議会の意見とが対立していても、住民の意見を自治体の意志決定に反映する一般的な手段がなく、やむを得ず直接請求という手段に訴えたというケースがほとんどであった。

直接請求の問題点

議会による否決の可能性

 しかしながら、直接請求による住民投票条例の制定には大きなカベがある。第一のカベとも思える有権者の2%の署名という点については、多くの場合注目度の高い問題であったこともあり、法定数を越える署名が集まるケースが多く、大きなカベとはならなかった。
 むしろ最大のカベは、条例案の決定権は議会にあるということである。もし議会がそもそも住民の意向と対立した意見を鮮明にしている場合、条例案は否決され、投票そのものも不可能となる。多くの条例案が議会によって否決されてきた。

争点ごとに必要となる直接請求

 もちろん、それらのカベも越えて、いくつもの住民投票条例が成立し、投票が行われた訳だが、直接請求による住民投票条例の問題点は、他にもある。たとえば仮に他の争点が浮上した場合でも、再度、直接請求のために署名を集め…、という手順を踏まなければならない。
 そもそも主権者である住民の意向を政策決定に反映させるために、そのたびに直接請求という手段を取らなければならないというのもおかしな話である。

「市民参加条例」

「市民参加条例」で常設する自治体の登場

 こうした中で、住民投票を常設の制度として盛り込む自治体が現れた。その最初の事例となったのは大阪の箕面市の「市民参加条例」である。97年に制定された同条例は次のような規定を置いている。
参照先1
「第八条 市長は、市民の意思を直接問う必要があると認めるときは、市民投票を実施することができる。
2 前項の市民投票の実施に関し、投票に付すべき事項、投票の期日、投票資格者、投票の方法、投票結果の公表その他必要な手続については、別に条例で定める。」
 首長が必要と認めれば、直接請求による条例提案を経なくても住民投票を実施できると明記した点では画期的とも言えるが、住民と首長の意向が異なる場合は、結局のところ直接請求によらざるを得ないという点では、半歩前進という側面は否めない。
 その後も同様の条例が大阪府宝塚市東京都西東京市東京都狛江市などで制定されているが、住民投票に関しては「首長」発議というのが主流を占めている。
参照先2-4

「常設型」住民投票条例の登場

 こうした流れの中で、ここ数年で注目される動きが「常設型」住民投票条例である。前項の「市民参加条例」も常設ではあるが、「常設型」は市民からの発議が可能な点で、一線を画する。
第一号となったのが2000年に制定された愛知県高浜市の「住民投票条例」である。
参照先5
その後、群馬県中里村、境村、埼玉県富士見市、広島県大竹市、広島市などでも同様の条例が制定され、広がりをみせつつある。
 条例の構成は18以上、永住外国人にも住民投票資格を認めるなどほぼ共通している面もあるが、発議の際の署名数などにそれぞれの自治体の独自色がでている。上記の市町村のうち4市を比較すると以下のようになる。
市民の請求者数 議会の発議 市長の発議 18歳 外国人 成立投票率
高浜市 3分の1 12分の1で議員提案、過半数で可決 あり OK OK 50%
富士見市 5分の1 3分の1の賛成で可決 あり OK OK 33.30%
大竹市 6分の1 12分の1で議員提案、過半数で可決 あり OK OK 50%
広島市 10分の1 なし なし OK OK 50%
 ほぼ成立順に並んでいるが、後になるほど市民発議に必要な請求者の割合が減り、要件が緩和されてきている。埼玉県富士見市は議会の発議要件が低い他、住民投票が成立する投票率も3分の1と、低めに設定されているのが目立つ。
 また、政令市では初めてとなった広島市では発議ができるのは市民だけとしている。

「自治基本条例」の「住民投票」条項

 住民投票に言及する条例は、上記のほかに、最近各地で制定の動きが高まっている「自治基本条例」の中で規定されるケースもある。ただ、今のところ(2003年6月)ほとんどが首長発議のみで、東京都杉並区の「自治基本条例」新潟県柏崎市の「市民参加のまちづくり条例」が住民発議に言及しているが、地方自治法の条例の直接請求の制度を改めて盛り込んでいるというだけである。
参照先6-7
2003年6月26日

[ 参照先 ]

  1. 大阪の箕面市の「市民参加条例」(URL: http://www3.city.minoh.osaka.jp/reiki/login.html )
  2. 大阪府宝塚市(URL: http://www.city.takarazuka.hyogo.jp/machizukuri/sanka.htm
  3. 東京都西東京市(URL: http://db.city.nishitokyo.tokyo.jp/reiki/
  4. 東京都狛江市(URL: http://www.city.komae.tokyo.jp/pdf_files/rules_pdf/FL0000C771/○狛江市の市民参加と市民協働の推進に関する基本条例.pdf
  5. 知県高浜市の「住民投票条例」(URL: http://www.city.takahama.aichi.jp/jyouhou/jyu_kai01.htm
  6. 東京都杉並区の「自治基本条例」(URL: http://www2.city.suginami.tokyo.jp/library/library.asp?genre=42
  7. 新潟県柏崎市の「市民参加のまちづくり条例」(URL: http://www.city.kashiwazaki.niigata.jp/webapps/service/service_detail.jsp?sectionid=4&partid=1&contentsid=17
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